相続トラブルイメージ

父が残した心に残る遺言

私の父は非常に車が好きな人でした。
小さいころから、よくドライブに連れて行ってもらっていました。
ここで紹介するのはそんな父が遺した遺言についてのお話です。
私が物心ついた頃、家族で所有していた車は、私から見るとなんの変哲もない普通の乗用車でした。
ですが、その車は実は父にとってはとても思い出深い車だったようで、いつもその車の話を聞かされていました。
その影響を受けたからかはわかりませんが、私自身もかなりの車好きというか、車オタクになっていました。
そんな私が免許を取った時に、父が私に買ってくれた車は、国産メーカーのオープンカーでした。
これは後で聞いた話ですが、父も以前母と結婚する前は、オープンカーに乗っていたそうです。
しかし、結婚を機に売ったという事でした。
その時には、車を売る事に対して、父は相当抵抗したらしいです。
そんな思いもあったのでしょう。
私に車を買ってくれた時の父の表情はとてもうれしそうでした。
そして、私とドライブに行くのをとても楽しんでいました。
そんな私も、大学を卒業して就職して、結婚する事になりました。
その頃にはすでにオープンカーではなく、普通の車に乗っていました。
私も父と同様、結婚時に妻と喧嘩になり、オープンカーを手放していました。
そして、実家に帰るたびに父とは、車の話で盛り上がりオープンカーにまた乗りたいという話をしていました。
このようにして、日々を過ごしていたある日、突如として飛び込んできたのが、父が亡くなったという知らせでした。
突然のことでした。
私たちにとっては突然の事でしたが、どうやら父は自分の死期を悟っていたのか、遺言を残しており、それにも私たち家族は大変驚きました。
そして、その遺言状の中に書いてあった内容に、さらに驚きました。
そこには、霊柩車をオープンカーにして欲しいという内容の事が書かれていました。
それ以外のことは、家族や相続の事について書かれていましたが、このオープンカーのインパクトは非常に強かったです。
私たちはとまどいました。
どうしたものかと葬儀屋さんに相談に行きましたが、葬儀屋さんもそういった前例は無いから難しいのではといった程度の回答しかできませんでした。
そんなある日、父の古い友人と言う人が訪ねてきて、遺言状の内容について確認されました。
そして次の時には、何とオープンタイプの霊柩車を実際に見せてくれました。
どうやら、この友人と言うのは、父がかつて世話をした事がある人だそうで、その恩返しだとおっしゃっていました。
そのおかげで、父の希望は見事叶えられました。
そして、もう一つのサプライズがありました。
その父の古い友人と言う人が、私に渡す物があると言い、取りだした物が、かつて父が乗っていた車のカギだったのです。
父はオープンカーにまた乗りたいという私に車を残していてくれたのです。
この瞬間のなんとも言えない想いは、一生忘れることが無いと思います。

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