相続トラブルイメージ

主人が私に残した遺言

定年をあと少しに控えた一昨年、主人が亡くなりました。
特に病気らしい病気もしたことのない人だったのですが、ある日体調不良を訴えて病院に行ったら、末期ガンの診断を受け、余命一カ月を宣告されました。
バタバタと入院。
あっという間に病状は進行し、主人は、余命宣告から3週間ほどで帰らぬ人となってしまいました。
思えば、何にしても急な人でした。
プロポーズも付き合って1週間ほどでしたし、結婚も、結果的にはおめでた婚でした。
「亡くなるのもやっぱり急だったなあ。」と、通夜とお葬式を済ませ、しみじみしながら、ひとりになってしまった自宅で主人の遺品を整理していたときのことです。
玄関のチャイムが鳴りました。
インターホン越しに応対すると「宅配便です。」とのこと。
特に何かを頼んだ覚えもなかったので、不思議に思いながらも荷物を受け取ると、主人が注文したものでした。
中身は、女性ものの洋服です。
そういえば、主人が具合が悪くなる少し前に、一緒にショッピングセンターに買い物に行ったときに、私が「退職して時間ができたら、こういうのを着て、一緒にりゆっくり旅行なんかしたいね。」と言いながら見ていたものした。
はっとしてカレンダーを見やると、今日は私たち夫婦の結婚記念日です。
どうやら主人が、病床から生前に注文したもののようでした。
中には手紙が一通入っていました。
「待つのが嫌いな性格なので、今まで、なんにでも急いできたような気がします。急ぎすぎて、とうとう君をおいて、先に逝くことになりそうです。こんな僕にずっとついてきてくれて、本当にありがとう。せめてこの先は、これを着て旅行などをいっぱい楽しんで、僕の分まで、ゆっくりと生きていってください。」と書いてあります。
主人がそんなふうに思っていてくれたなんて、なんだか心がじんわりと温かくなりました。
ただ、残念だったのは、荷物が着払いだったことです。
病床で手持ちのお金もなく、カード類も自宅に置いたままだったので仕方がないのかな、とも思いましたが、結局私が自分でプレゼントの代金をを支払うことになったのはなんだかなあという感じでした。
でも、きっといつものように「プレゼントがしたい。」「遺言を残したい。」という気持ちだけが急いでしまってのことだったのでしょう。
急いでばかりで大変だったような気もするけど、もう少し一緒に過ごしたかったなあと、また涙がでてきました。
このさきは、主人の遺言を守って、ゆっくりと残りの人生を過ごしていきたいと思います。

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