相続トラブルイメージ

可愛がってくれた叔父からの遺言

叔父には幼少時から凄く可愛がってもらいました。
どこかに行くと必ず私にまでお土産を買ってきてくれたり、家族で遊びに行く時には私も連れていってくれたり、実の娘のような扱いをしてくれました。
両親から怒られたときなども、私を庇ってくれたのも叔父でした。
ですので本当に大好きだったのです。
しかし若くして難病に侵され、みるみるうちにやせ細っていってしまったのです。
しかも若いということで病の進行もかなり早くて、病気が発覚した時には既に手遅れの状態でした。
もうあとは延命治療くらいしか出来ない状況にまできていたのです。
そんな叔父に何かしてあげたいとは思いつつも、私に出来ることなどほとんどありません。
時間をみつけては顔を見に行くのが精一杯でした。
叔父は私の顔が見れただけで嬉しいと言ってくれましたが、なんだか自分がものすごく無力で情けない存在に思えてならなかったのを覚えています。
そんな状況が3ヶ月ほども続いた頃でしょうか。
ずっと安定していた叔父の病状が急変したとの知らせを受けたのです。
大急ぎで駆けつけはしたものの、私は結局間に合いませんでした。
あんなに可愛がってくれたのに、最後の最後に顔を見せてあげることさえ出来ず、恩返しの一つも出来ず、情け無い気持ちでいっぱいになりました。
ただ一つだけホッとしたのは、叔父の顔が凄く安らかだったことです。
薄っすらと笑みを浮かべているようにさえ見えました。
最後は苦しまなかったんだと思うと、それだけでも良かったと思うことが出来ました。
そして御通夜のとき、一人で叔父の傍で顔を眺めていたら叔母がやってきました。
どうしたのかと思えば、徐に白い封筒を私に差し出すのです。
意味が分からないままに開けた封筒から出てきた紙を見てみれば「笑え」と一言だけが書かれていました。
叔母によると、それは叔父から私への遺言なのだそうです。
私の笑った顔が一番好きだから、自分に何かあっても笑っていろと、そういうメーッセージなのだと聞かされました。
でもそんなの逆効果です。
ずっと堪えていた涙が、ダムが決壊したかのように溢れ出てきてしまいました。
もう二度と私の笑顔を見てもらえないのです。
そんな悲しいことはありません。
しかし今だけです。
この瞬間、思いっきり泣いたら、あとは叔父が好きだと言ってくれた笑顔でいようと強く思ったのです。
その時の気持ちの通り、今私は出来る限り叔父の遺言を守るよう心がけています。
笑顔でいる強さをくれた叔父に、ありがとうと伝えたい気持ちです。

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