相続トラブルイメージ

優しかった祖父の遺言

私の祖父は73歳という、今では若い年齢で天国へ行きました。
祖父は真面目で何事にも一生懸命で朗らかでした。
真面目なだけではなく時々、冗談なども言って本当に一緒にいて楽しい祖父でした。
孫の私は祖父のおんぶが何より大好きでいつもおんぶをせがんでいました。
ある日の夕飯時、祖父のぱんぱんに腫れた手を見て驚いたのを覚えています。
体のあちこちを蝕む病気が進行していくのを見ているのが辛かったです。
孫の私でさえ辛かったのですから、何十年も一緒に暮らしてきた祖母はもっと辛かったはずです。
祖父と祖母はとても仲が良しでした。
どこへ行くのも一緒、何をするのも一緒、自営業だったため尚更そうだったのかもしれません。
祖母は頑張る祖父を励まし、時には寄り添って共に年をとってきたんでしょう。
とても素敵な二人でした。
祖父の病状が急に悪くなり、私が病院へ駆けつけた時にはもう息をひきとっていました。
ベッドの横には見たことない落胆する祖母の姿がありました。
私の父や叔父さん、叔母さん、みんな悲しみでいっぱいでした。
翌日からお通夜やお葬式の準備が始まりました。
棺桶の中で眠る祖父の体にはお経が書かれた袈裟が入っていました。
当時、15歳だった私は、袈裟と言うもの自体が分からなかったのですが、それ以上になんであんなにお経が書かれてあるのかが分かりませんでした。
気になった私は、あれは何なのかと聞いてみました。
すると、そこには祖父の愛情が溢れるお話がありました。
祖父は遺言を託していたのですが、その遺言状には残った者達は、互いに助け合い生きていくことと、私の気になっていた袈裟に関することが書かれてありました。
袈裟は先に天国へ行く祖父が後からやってくる祖母が迷子にならない為に用意した目印。
二人が再会できるようにとお揃いの袈裟を用意し祖母にその時がきたら必ずその袈裟を身に着けてやって欲しいと書かれてあったそうです。
その話を聞いたその場にいた人は皆、祖父の相手を思いやる愛に涙を流していました。
本当に素敵な話で私も涙が止まらず、今でも思い出すとほんわか温かい気持ちになります。
そして、数年後に祖母も後を追うように亡くなりました。
もちろん、祖父の用意したお揃いの袈裟を身に着けて天国へ旅立ちました。
二人は再会して今も天国で仲良く暮らしていると思います。
私にも夫がいます。
祖父と祖母のような素敵な関係でいられるように心がけていきたいと思います。

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